子供に関する書籍を、これまでもいろいろと手に取ってきましたが、久々に、こころにストンと落ちる1冊に出会いました。

「子供へのまなざし」
児童精神科医の佐々木正美先生の著書で、初版は1998年に遡ります。
いつの時代にも、母親になると、育児書的なものを参考に、初めて体験する子育てを自分なりに確立していくものではないでしょうか。
私が子供の頃、母の書棚には「スポック博士の育児書」が置かれていました。
1966年に日本で発売されるやいなや、子供を持つ母親のバイブルのような存在だったようです。
アメリカ的な発想のもと書かれたもので、数年前、坂東眞理子氏の「親の品格」では、かなり批判的な評価をなされていました。
たとえば、3ヶ月くらいになると、泣き癖、抱き癖がつくから、泣いてもすぐには抱かない方がいい、とか、自分を犠牲にしてまで子供に付き合う必要はない、といったような内容です。
私の母が、それを実践していたかは分かりません。。
娘が赤ちゃんの頃に預かってもらったとき、何時間も泣き続ける娘をずっと抱っこして散歩に連れ出してくれたり、へとへとになって世話をしてくれていたので、きっと私が子供のときも、同じようにしてくれていたのではないかと思います。。
スポック博士が提言するように、たしかに欧米では、生まれた直後から夫婦の寝室と子供のベッドは別にし、ベビーモニターで子供の泣き声が聞こえると様子を見に行く、というのが一般的。
それはそれで、子供は1個の自立した存在として扱われ、一人の人間として尊重されると言えなくもありません。
しかし、佐々木先生の著書によると、まったく逆の研究結果が発表されています。
子供に対しては、過保護すぎるくらいでいいということ。
子供の希望は100%満たしてあげることが大切だというのです。
そうすることで、子供は親を全面的に信頼し、自分が何をしても親は自分を愛してくれる存在であり、受け入れてくれるという自信を持つことができます。そこではじめて、安心して社会に出ることができるのです。
そういえば、大学時代に児童心理学の授業で、同じような講義を受けたことを思い出しました。
また、本書には、母親が妊娠中に精神的なダメージを受けたり精神的に不安定な時期が数ヶ月続くと、出産後に同じような環境に置かれたときよりも、子供への影響が現れるということも実証されていると書かれています。
母親の悲しみや不安定な気持ちが、胎盤を通じて、子供に伝わるのです。
妊娠中、私にも、非常に辛い時期がありました。
それが、子供にどのような影響を与えたかは分かりません。
でも、佐々木先生は、それを克服するには、子供にとにかく安定した愛情を注ぎ続けること、すべてを受け入れ、希望を満たすということを地道に続けることが最善であるとおっしゃっています。
それは、甘やかすということではありません。
過保護と過干渉は違います。
過干渉は、子供の健全で前向きな気持ちを萎えさせてしまいます。
そして、仕事と育児の両立についての悩みや、母性と父性についてなど、気にかかっていたことを相談形式で応えてくれているのが続編です。

たいへん読み応えのある2冊でした。

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