「遊ばない社員はいらない」
インテリア雑貨を扱うフランフランやBALS TOKYOを運営する株式会社バルスの高島社長の著書のタイトルです。

私も独立して仕事をするまでは北欧の家具やインテリア小物を扱う小売の世界に身を置いていました。
そのときにお世話になった社長や取締役とは今もことあるごとに会って親交を深めていますが、彼らがいつも同じことを言っていたのを思い出します。
忙しくて深夜まで残業したり休日出勤している社員に向かって、「仕事ばかりしていて遊ばない人間に、どうやって私たちの世界観を伝えることができるのか」と。
私たちが提案するのは、単なる「モノ」ではありません。
ライフスタイルです。
店舗にいらっしゃるお客様に、モノを通して、素敵な暮らしを送ってもらいたい、というメッセージを送るのが私たちの仕事です。
その私たちが素敵な暮らしをしていなければ、お客様に伝わるわけがありません。
インテリアデザインの仕事も一緒です。
例えばホテルのデザイン。
いろいろなホテルに泊まって、居心地の良さや非日常のわくわく感、ホスピタリティを自ら体感しなければ、デザインのコンセプトすら浮かんできません。
インテリアの好みは人それぞれだと思いますが、私は北欧のデザインが大好き。
それは、フィンランド人の友人のサマーハウスに数週間滞在したとき、彼らのライフスタイルが自分にとって本当に心地よいと感じたことがきっかけです。
自然との共存、一つのものを大切に長く使う文化、あたたかみのあるものに囲まれた生活、空間を優しく包み込む灯り、家族や友人と語らう緩やかな時間・・・。
私は今、自宅でたくさんの北欧デザインに囲まれて生活しています。
ヤコブセンのスワンチェアやカラフルなセブンチェア、ポール・ヘニングセンのPHランプ、シナサンドやマリメッコのファブリック、そしてイッタラのテーブルウェア。
それらは、もう何年も使っているのに、まったく飽きることはありません。私はモノを買ったことで満足したのではなく、それらに毎日座り、優しい灯りの下で生活し、食器やカトラリーを使うことで楽しい時間を過ごすということにお金を支払ったのです。
「遊ぶ」というのは、何も外に出て遊びまわることだけではありません。好きなことを、とことん追求したり、好きなものに囲まれる生活は、それだけで遊び心に溢れています。
モノを買うことの喜びって、そんなところにあるのだと、あらためて思います。

↓
読んでくださってありがとうございます。こちらをクリックしてください!