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インテリアデザインアトリエ「MUSE DECOR(ミューズデコール)」のブログです。
 

インテリアと色彩心理学

インテリアの仕事をしていると、空間を構成している「色」は非常に重要な要素です。
ですから、色彩心理学の勉強は欠かせません。


私たちは知らず知らずのうちに、色から、かなり大きな影響を受けています。
たとえば、暖色と寒色という言葉はよく聞かれると思いますが、赤やオレンジ、黄色はあたたかさを感じ、青や紫は冷たく感じるというのは定説です。

家具や壁の色を暖色で統一した部屋と寒色で統一した部屋では、体感温度が3度程度も変わるという実験結果が出ているそうです。

また、暖色系は脈拍数・呼吸数・血圧が高まり、自律神経統を刺激、ホルモンの分泌を促進、筋肉緊張が増大、食欲が増すと言われています。

さらに、暖色系は時間の流れが早く感じるのに対し、寒色系は時間の流れを遅く感じさせるのだとか。

暖色と寒色だけでも、心理に与える影響は様々ですし、心理だけではなく、生理的、身体的な変化をも確実にもたらしているようです。



住宅のモデルルームをつくるとき、色については最も意識するところです。
まず、蛍光灯の照明器具を使うことは、ほとんどありません。
白熱球のオレンジ系の色味は、それだけで空間を温かい印象にしてくれます。逆にもし白い蛍光灯を使用したら、実質的な明るさ(明度)は出せますが、すべて青みがかって見え、冷たい印象になります。


ファミリーを意識した空間では、やはり家族の団欒や円滑なコミュニケーションをイメージしてベージュ系や茶系などの暖色や明るい色を使うことが多いですし、シングル向けの空間ですと、比較的、ブルー系、紫系のカラーでまとめます。それは、静かに時間が過ごせるという印象をもたらす効果を狙っています。


その空間に住む人が、住まいに何を求めているのか。団欒を楽しみながら家族との時間を過ごしたいのか、静かに一人の時間を楽しみたいのか、いろいろなシーンを想定して、色を選んでいます。


私自身が、色から受ける影響はかなり強く感じています。
以前、会社員だったときは、夜しか家にいないので、照明をつけた状態で部屋にいるのですが、産後は、一日、お日さまの光だけで過ごす時間が圧倒的に長いわけです。
夜は子供の時間に合わせて8時過ぎには灯りを消してしまうのですから、なおさらです。
そこであらためて、太陽光と人工的な灯りのなかでの色の見え方の違いを肌で感じました。
そして、長く時間を過ごす空間の色が与える影響は心理的、身体的に大きいということを実感しました。

あたたか味のある明るい空間にいると、物事を前向きにポジティブに考えられます。楽しい気分になり元気が出ます。
逆に、寒色系の空間にいると、冷静になり、自分を見つめなおしたり、物事を深く考えることができます。
もちろん子供と常に接していなくてはならない状態では、物事を深く考えている時間や余裕はありませんし、子供と過ごすときは、いつも明るくポジティブな気持ちでいたいものです。。

こうした心理的作用を考慮すると、リビングなど家族が集まる空間は明るく、寝室や個室などプライベート性の高い空間は寒色を使うのがいいのではないかな、と思います。
また、仕事場も、集中して作業をしたり何かを考えるときと、皆で集まって活発な意見交換をする場合とでは空間を変えたほうが効果的でしょう。



私の今後の課題は、子供の心理と色の関係を探ることです。
2歳になったばかりの娘は、お絵描きやねんど遊びが大好き。色えんぴつやクレヨン、カラフルな粘土を使って子供なりに素晴らしい創作活動をしています。


クレヨン


毎日、子供が手に取る色を見ていると、なかなか興味深いものがあります。
「色」って本当に面白いです。





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● 千葉 聖美
千葉 聖美
インテリアデザインアトリエ「MUSE DECOR(ミューズデコール)」主宰。
ロンドンのChelsea college of Art&DesignでインテリアデザインのDiplomaを取得。
 
→MUSE DECOR(ミューズデコール)のHP